胆嚢は、胆汁という分泌物を作り、貯める働きを持つ器官です。貯められた胆汁には、脂肪を分解し水に溶けやすい状態にする、つまり、乳化する役割を持ちます。
胆汁は、元々はサラサラの液体成分ですが、様々な原因により成分が変化した場合、サラサラの状態からドロドロの成分である胆泥と呼ばれるようになります。この状態のことを胆泥症と呼びます。
また、胆汁が石のように硬く固まると胆石症と呼ばれるようになります。
胆泥症、胆石症どちらの状態も軽症の場合は無症状であるケースが多く、成分が変化した胆泥や胆石が胆汁を消化管へ送り出すための通り道である胆管に詰まり、胆嚢の炎症が起きたり、たまりすぎた場合は胆嚢破裂などが起こります。
もし胆汁が腹腔内に漏れると腹膜炎という重症な状態へ変わります。このような状態は命に関わる状態になります。
また胆嚢が原因出あるにも関わらず、肝臓の病気を併発することも多いです。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期の状態では症状は表しませんが、症状があらわれはじめて発症すると、その時点で肝機能の約5~8割が障害を受けているケースが多く、症状がなくとも危険な状態に近い可能性がありえます。このように胆嚢のみの病気ではないところが胆泥症・胆石症の怖いところです。
胆泥症や胆石症の症状ですが、前述した通り、軽傷ですと無症状のことも多いですが、以下のような症状がみられるケースもあります。
など認められるケースがあります。
内分泌系の異常(具体的な病気だと甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症など)や細菌感染から併発したパターンの胆嚢炎が原因となり、発症することが多く見られます。
その他に、
などが原因と言われています
胆泥症では、以下のような検査を行い、診断を下します。
これらを総合的に見た上で診断をしていきます。
治療に関しては、①どのタイミングで治療をはじめるか?②内科or外科治療か?が大事になってきます。それぞれについて解説します。
超音波検査などで胆泥が胆嚢内に認められた時点で、治療のスタートやお家での環境の改善を行わなければ、その後の病気の進行が考えられます。前述した通り、初期には無症状のケースが多いですが、胆泥症では泥が胆嚢内にどんどん溜まることも問題ですが、それ以上に一番大きな問題になるケースとしては、胆汁の通り道、胆嚢と腸管を繋いでいる胆管に胆泥がつまることです。こうなると、胆嚢破裂や胆嚢や肝臓の炎症が発症し、重症化した場合、命の危険にさらされるリスクが増す可能性があります。このような大きなリスクを回避するために、血液検査や超音波検査など早期の検査・治療を推奨しています。
胆泥症のリスクを少しでも減らすという観点では、外科的な手術による胆嚢切除術という胆嚢を完全に取り切るとう方法が、リスクを減らすことが出来る治療法となります。
しかしながら胆嚢切除術にはリスクがあります。胆嚢内にある胆汁は消化酵素を含むため、腹腔内に漏れた際に腹膜炎など二次的な病気を引き起こす可能性もあります。
外科的な治療と打って変わって、内科的な治療では、胆泥の量をいかに減らすことができるか、あるいは悪化させず現状を維持できるかが目標となります。薬の影響で胆管が詰まる可能性もあるので、治療の選択は獣医師との相談が必須です。
しかし、慢性的に重篤化した子や急性に症状が悪くなってしまった子には、外科的な治療である手術のみが治療法になる場合も少なくありません。
胆泥症・胆石症は場合によっては命に関わる急性の疾患です。もし上記で書いたような症状などが現在ありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
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